ばね指
「ばね指(弾発指)」
手・指の症状
指は腱によって曲げ伸ばしをすることができます。手を握ったりする強い力を発揮する筋肉は前腕にありその力を腱が伝えます。その通り道で指を曲げる屈筋腱が浮き上がらないように押さえているのが靭帯性腱鞘と呼ばれるものです。その構造はベルトとベルト通しの関係に似ています。
この靭帯性腱鞘は指の部分にありますが、それが終わる指の付け根に力がかかり炎症を生じやすいところがあります。その部分の腱や腱鞘が炎症を起こし、「腱鞘炎」になり、さらに進行すると引っ掛かりが生じばね現象が起こります。これを「ばね指」と呼びます。
ばね指の原因
日頃から手や指をよく使う人は、腱や腱鞘に大きな負荷がかかっているため、炎症が起こりやすいです。
特にばね指の発症の原因になりやすと考えられる動作。
・ホルモンバランスの変化
・テニスやゴルフなど手を使うスポーツ
・パソコンのキーボードやマウスの動作
・家事での動作
・ピアノなど指を酷使する動作
ばね指は男女問わず誰でも発症するリスクはありますが、ホルモンバランスや家事などで指を多く使う女性に多く発症がみられます。
50歳前後の女性は女性ホルモンの分泌により、腱や腱鞘が弱く傷みやすくなります。妊娠中や産後女性も更年期と同様に女性ホルモンのバランスが乱れやすく、一時的に更年期と似た状態になるため、ばね指になりやすくなります。
糖尿病のような持病がある方は、末梢の血行が悪いため、ばね指を発症しやすくなります。一度炎症が起きると治りにくいので重症化するケースもあります。一度改善しても再発することもあるため、基礎となる持病をしっかり治すことも重要です。
ばね指の症状
・手のひら側の指の付け根の痛み、腫れ、熱感
・指の曲げ伸ばしが滑らかでない
・指のこわばり、動かしにくさを感じる
・指の曲げ伸ばしの際に引っ掛かり感じがある
・曲がった指をまっすぐにしようとするとばねのように跳ねる(ばね現象)
・指がまがったまま伸ばせない
いずれかに1つでも該当すれば、ばね指が疑われます。
ばね指はどの指にも起こり得るものですが、中でも親指、中指、薬指での発症率が高くなります。
ばね指の治療
・指の固定
まず指の炎症が強いときは指を動かさないことが重要です。指を動かしすぎると腱と腱鞘がこすれて炎症が引きません。なので炎症が引くまで固定が必要になります。
・超音波治療
症状がひどいときは組織に炎症がおきて腫れています。なので組織を修復するために超音波治療をします。1秒間に100万回~300万回の振動を患部に照射することで「温熱効果」「非温熱効果」を生みだし、患部の自然治癒力を高めていく施術です。
・ハイボルト治療
ハイボルト治療は、特殊な電気を用いて炎症や痛みの原因となっている部分にピンポイントでアプローチし、ばね指による痛みや炎症を緩和する施術です。
・注射
物が持てない、仕事に支障が出るほどの強い痛みや、ばね指を繰り返している場合は、ステロイド注射をする場合があります。
・手術療法
ステロイド注射を行っても症状の改善に乏しい場合や再発を繰り返すような場合には手術を検討します。
手術は痛みの元になっている腱鞘を切開し、その一部を切り離すことで、つらい症状をさせることが可能です。手術自体は1センチ程度の切開で済み、所要時間も15分程度と短いため日帰りで行うことが可能です。術後1週間程度は手を濡らさないように気を付ける必要があります。